学校併設の日本人宿に「招かれざる客」がやって来た。
それは1人の旅行者が運んできた強力な風邪の菌である。
シェラは2000mを超える高地にあるため、中米にもかかわらず朝晩は冷え込む。それを知らずに、もしくは甘くみて熱帯の時のままの薄着で、あるいは長旅で疲れ切った体でやって来た旅行者は、かなりの確率ここで寝込むことになるらしい。
先週やって来た「某彼」も、宿に着くなり寝込んでしまい、丸1週間療養に時間を費やすはめになってしまった。
病院に行き、適切な処置を受け、宿に帰ってはタカさんの看病の甲斐あって、最初は酷かった症状も日ごとに良くなり、今日などはすっかり回復したようだ。
しかし、その後が悪い。
「風邪は他人に伝染(うつ)せば治る」
という都市伝説があるが、それを立証するかの如く、彼が治ると同時に今度はタカさんが高熱に倒れてしまった。まあ親身になって色々気を使った分だけ感染の危険にさらされていたんだから仕方あるまい。
かくしてタカさんは伝染される立場から一転、伝染す立場になってしまった。
我々は怯えた。
「次は誰が犠牲者か?」
可能性の高さから言うと、子供・年寄り・弱ってる人…。しかし、今この宿にはそれに該当する者はいない。そうこうしている間に2日ほど経ち、タカさんの病状が好転し始めた頃、次の犠牲者が出た。
オレかよ……。
多分自分じゃないかと思ってたんですよね…。
昔からこういう流行性のヤツにはめっぽう弱い私はガッツリと菌をいただいてしまっていたようで、木曜の晩から寝込み生死の境をさ迷うことになってしまった(ウソ)。
でもホント辛かったっス…。近年経験したことの無い高熱が出て、正直生殖器官がダメになっちゃうんじゃないかと不安になったくらいです。
不幸中の幸いだったのは、タカさん達の様子を見ていたので、症状が出始めてからの対処が早かったこと。ホームステイしてるおかげで、自分で用意しなくても3食摂れたこと。ルビアが料理に気を利かせてくれたのにも感謝感謝です。
そんなわけで校内(宿内)を騒がせた「風邪騒動」は私のところで終息をむかえそうです。誰にも感染せなかったのは不本意ではありますが…。