同じ宿に宿泊している日本人旅行者が、
「寺を見てみたい」
と言うので、お寺にご招待。日本では近寄る機会の少ないお寺もブエノスで見ると妙に和むらしい。サロンで3人並んでNHKを見ながら緑茶をすすっていると、突然どうしようもない程の郷愁が襲ってきたのだった。
放送している番組も日本の良い感じの場所を訪ねる、というもので、今日は「京都 西山」というところだった。ワビ・サビの感じれる良さ気なところでこれまた3人揃って、
「いいねえ日本は」
を連発。その直後、お寺のTさんがやって来て、
「おまんじゅう、あるから食べて」
としみる心遣い。3人ますます日本への思いが募ってしまったのだった。
前にお寺で、あるジイチャンと話していた時のこと。
「もう帰らないつもりで来てるのに、それでもいつか日本に帰りたいって思っちゃうんだよね」
と言っていたのを思い出した。みんながみんなそう思っているわけじゃないけれど、移民した一世たちは本当に日本のことを大切に思い、いつもあつい目で見守り続けている。…勘違いも大いにあるけれど、その思いに触れるとこんな軽薄な私も少なからず母国のことを考え直そう、という気になってしまう。考えるだけなんですがね。
日本に対しては不満は山ほどある。変な事件は多いし、物価は高いし、帰省ラッシュはあるし…。それでも日本が大好きだ。来年の夏、日本に帰るころにはもっと日本のことが好きになってるだろう。そんな気持ちになれるから旅行は大好きだ。
↑落書き。「オベデセール ノー エス ビビール(服従は生きることじゃない)」誰が書いたんでしょうか。これを見て尾崎豊を思い出すのは私くらいのもんでしょう。